茶室見学

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茶室に見学に行ってきました。

30年前に本社設計部で設計した物件です。

通常は蹲(つくばい)で身を清めてから、にじり口と呼ばれる入り口から茶室に入りますが、今回は普通に玄関から入りました。

茶室の中ではすべての人が平等ということを示すために入り口を低くしました。どんなに身分が高い人でも、刀を外し頭を下げなくては茶室に入ることができないという仕組みです。

茶室の天井は低く、窓からの光も必要最小限度に絞られて、主客ともにお茶事に集中できます。お客さんが座るところの方が天井がより高く、『お客さんの空間は格が高いんですよ』ということを、天井の高低を利用して表現しているようです。

お茶事の手前に必要となる道具や水などを用意するため、茶室に隣接して水屋という部屋が設置されていて、その中では赤い茶碗が一番気に入りました。

和室の禅語は「吾心似秋月」(吾が心秋月に似たり)。

『寒山詩』にある一句です。『寒山詩』は、古代中国の唐代の詩人、寒山の詩を集めたものです。

とても印象深い書道の作品でした。 中国の書道には根柢に建築的な強い骨組がありますが、日本の書道はより装飾的な或いは図案的な平面の調和ということに進みやすいようですね。

茶室の禅語は「掬水月在手」(水を掬えば月が手の中に在り)。

由来は、唐の時代、于良史(うりょうし)作の詩『春山夜月』です。

和室の禅語(「吾が心秋月に似たり」)といずれも静かで清らかな心を表現しています。

私たちの本来の心は、秋の月のように澄みきったものではないでしょうか。


k.u.k.

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